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助成金申請のコツ その2
助成を受けた次の年──助成を受けたことが、団体が成長する次のステップとなるために

Check 1--●助成事業の成果と課題を、団体の中で振り返ってみよう!

助成金を受けたことで、グループ・団体の活動や、役員・スタッフの意識は、どのような点が、どのように変わったと思いますか?
助成事業の成果は、グループ・団体の活動を、より広げ、より深めるための大きなきっかけとなるはずです。
助成事業が終了した時に、助成団体への報告書とは別に、事業の成果と今後の課題をふりかえり、グループ・団体として、例えば以下のポイントについて、自己評価をすることをおすすめします。
例えば以下のポイントについて、役員やスタッフ、会員などが集まりながら、議論を行なって下さい。

評価のポイント 評価を行なう上での視点

目標とした課題は達成できたか?

事業を計画した当初に決めた課題について、どこまで達成できましたか?

達成できなかった課題は何か?

事業を計画した当初に決めた課題について、達成できなかったものは何ですか?

新たに気づいた課題は何か?

団体として、新たに取り組む必要がある(もしくは取り組んでもいいと思われる)課題が、浮かびましたか?

新しいメンバーの参加はあったか?

実施した事業をきっかけに、団体の活動に新たに参加したメンバー(団体役員・スタッフなど)はありましたか?そして、団体の使命(ミッション)や、活動の方向性などについて、ともに議論し、考えることができる関係が広がりましたか?

理解者や支援者が広がったか?

実施した事業をきっかけとして、団体の存在を認知し、活動について理解、共感しながら、支援していただける人やグループ、団体などができましたか?

課題や問題意識をいっしょに共有できるグループや団体が見つかったか?

同じ分野や、関連する活動をしている団体を知り、課題共有や、連携、協力ができそうな関係ができましたか?

新しい社会資源を開拓できたか?

今後の活動で、活用できそうな社会資源(人・モノ・金・情報など)を開拓できましたか?

事務局の執行体制は十分だったか?

事業実施の上で必要な連絡・調整などの事務について、をすすめる体制は、十分でしたか?特定の担当者に事務が偏ってしまったり、従来事業との区別があいまいになってしまったことは、ありませんでしたか?

計画の変更や新たな決定について、役員・スタッフなどの理解と同意を得る努力を、十分に行えたか?

助成事業を進める上で、団体の運営面で変更(活動日や事務体制の変更、会議や打ち合わせの回数や内容の変更、調査研究事業の担当者と事務局の連絡調整など)が生じた際、役員やスタッフ、会員やボランティアなどの理解と同意を得る努力を、十分に行いましたか?

スケジュールは守れたか?

従来の活動と並行しながら、助成事業を実施することについて、スケジュールは守れましたか?

こうした議論の積み重ねは、次の活動へのアイデアと、団体が成長する上での確実な歩みにつながるはずです。忙しい活動の中で、メンバーが集まる機会を設けるのは難しいかもしれませんが、ぜひ取り組んでみて下さい。

Check 2--●報告書の中で、次の助成のためのアピールをしよう!

助成事業終了後には、助成団体に対して、所定の報告書の提出が必要です。
ここでの報告内容は、基本的には「助成金の使途内訳」についてです。しかし、それだけで終えるのではなく、活動の成果をもとに、グループ・団体の力量や可能性をPRし、団体の実績と存在を助成団体に覚えてもらう、格好の機会ととらえて活用しましょう。
ただし、この場合、成果のみを一方的に強調するだけではなく、事業を通して浮かび上がった新たな課や、題これからの活動の方向性についても記入することで、課題に取り組み続ける団体の、積極的な姿勢を示すことが大切です。
現在の助成事業では、一度助成を行なったグループ・団体に対して、連続して助成を行なう例は少なく、また、また、助成対象となるためには一定の間隔(おおむね3年程度)が必要な場合もあります。
しかし、過去に助成を受けた団体を、明確に「助成対象外」としている場合も少ないことから、「一度助成金がもらえたから、もう助成対象にはならないだろう」と、はじめからあきらめて、報告書の作成も軽んじしまうことは、再度、助成を獲得する可能性を、自らでつぶしてしまうことにもなりかねません。
一方では、助成金の使途報告について、計算が間違っていたり、報告書に記入されている金額に対応した領収書が添付されていないなどのミスは、意外に多く見られます。報告書も「グループ・団体の顔」として、正確に、ていねいに記入しましょう。

Check 3--●事業の成果を、多くの人たちに知ってもらおう!

報告書の提出だけで事業を終えてしまうのは、何か物足りないとは思いませんか。
そこで、団体の会員や、一般市民に向けて、広く報告を行なう企画に取り組んではいかがでしょうか。
例えば、定期総会の場を報告会として位置づけたり、一般市民を対象に、シンポジウムや学習会などを開催することは、助成事業を通じて、グループ・団体が取り組んでいる地域や社会の課題について、「いっしょに考える」貴重な機会となるはずです。
また、助成団体への報告書とは別に、事業の成果をまとめた冊子を作成し、多くの人々に発信するのもアイデアの一つです。
さらに、助成事業や、グループ・団体の活動について、ビデオや写真などを用いながらドキュメントを作成したり、成果と課題の要点をまとめたパンフレットなどを作成し、広く頒布を行うことによって、自分たちの活動への理解を広げるきっかけとなるはずです。
一般市民に、自分たちの団体が「何をしたいのか」について理解してほしい場合、実際に今まで「何をしてきたか」の成果を伝えることは、大きな説得力になるからです。また、成果を記録し、広く伝えることは、グループ・団体の活動を広げるためにも、大切な活動のひとつです。

Check 4--●助成事業を通じて「気づいたこと」「感じたこと」を、"アイデア"として出し合おう!

これまでの取り組みを行なう中で、「次はこうした事業をしてみたい」というアイデアについても、メンバー一人ひとりの頭の中に浮かんできたことと思います。
そこで、こうしたアイデアを、メンバーが集まりながら出し合い、共有する機会を設けることが大切です。
ただし、この時、「助成金を得るため」のアイデアということにとらわれてしまうと、視野の狭い議論に陥ってしまったり、話し合いそのものの意義が失われかねませんので、注意しましょう。
「私たちが、何のために活動をするグループ・団体なのか」、そして、「団体として掲げた使命(ミッション)を達成するために、次にどんな活動が必要か」。そのためのアイデアを考え、議論できる「雰囲気」や「環境」が団体の中にあることは、助成金を受けるためだけではなく、グループ・団体として成長し続ける上でも重要です。
「できる」「できない」の判断は、最後に行なえばいいこと。アイデアを出し合う場では、メンバー同士が、お互いの「ひらめき」や「勘」についても尊重しながら、自由に、前向きに話し合うことが大切です。こうした雰囲気づくりを、メンバー一人ひとりがこころがけながら、アイデアを出し合いましょう。

Check 5--●すべてのアイデアは「できる!」と考え、実現に近づけよう!

メンバー一人ひとりが出し合ったアイデアは、すべて「できること」と前向きに考えながら、「どうすればできるか」について考え、課題を整理することが必要です。
ここでも、はじめから「できない」と決めつけるのではなく、「何が足りないのか」「足りないことは、どうすれば補えるか」、ひとつひとつのアイデアを最大限尊重しながら、積極的に考えることが求められます。
例えば、以下のポイントを参考にしながら、団体内で検討を行なってみて下さい。

Check 6--●「これから団体がどう成長していくか」の姿を描く。

助成を受けながらの事業実施を経験し、グループ・団体の活動年数も積み重なることによって、多くの現実的な課題にも直面するでしょう。活動をはじめてまもない頃は、「おもいつき」で何とか活動が成り立っていても、かかわるスタッフや利用者が増えてくると、必然的に、組織的な課題に対応する機会も増えます。
また、助成金の申請についても、初回以降、なかなか良い結果が得られず、メンバーが自分たちの活動に自信をなくしてしまうこともあるかもしれません。
こうした際に求められる取り組みとして、こうした困難を、単に活動の"行き詰まり"として思い込むのではなく、成長する過程での"試練"として受け入れつつ、打破するために自身の団体を冷静に分析することです。
確かに、連続して助成を受けることは難しく、活動が本格的になりつつあるところで、再び資金難に陥ることもあるかもしれません。しかし、それを「自分たちの活動が認められない」として嘆くのではなく、実績や経験の備わったグループ・団体が、「今すべき内容」であり、そして、「今すべき時期」であるか、申請内容の中で明確に打ち出されているかどうかを確認してみましょう。
助成団体は、助成した事業を実施することによって、そのグループ・団体の活動が充実し、掲げる使命(ミッション)の達成に近づくための、"たしかな歩み"になることを願っています。ですから、助成を獲得した経験のあるグループ・団体が、引き続き助成申請をするならば、そうした経験を踏まえながら、団体として、「次にどのようにすすむのか」、具体的なアイデアとして提案できているのかが求められるのです。
一方で、助成金だけを頼りにするのではなく、グループ・団体への資金面での支援者を広げていくことも必要です。助成事業の成果を踏まえた学習会やシンポジウムの開催は、活動の成果を広く伝える一方で、グループ・団体の活動を、地域社会の中でアピールし、多くの人に資金的に支えてもらうためにも重要な機会です。
助成を受けた次の年。「今年度の活動費をどう工面するか」に意識が向きがちな時期かもしれません。 しかし、これからのグループ・団体が成長していく姿を描きながら、「自分たちの目標を実現させるにはどうするか」について、アイデアをふくらませながら、そして、具体的に考えることが大切です。

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