新型コロナウイルス NPOから寄せられる相談とQ&A(相談の窓口から)

給付金・補助金・協力金…
「支援策、うちはどれが使えるの?」

キーワード:NPO法人、支援策、給付金、補助金、協力金、助成金、資金、新型コロナウイルス


新型コロナウイルスで大きな影響を受けた企業などを対象とした支援策の情報を目にする機会が増えてきました。「いろんな情報がありすぎてわからない」「うちの団体が使える支援策はあるのか」など、TVACにも日々多くの相談が寄せられています。

事業・活動を休止せざるを得なくなったり、休業等を余儀なくされて収入が減少したり、寄付や会費収入が止まって、運営が行き詰まってしまっているNPO法人が多くあります。

今、社会にはたくさんの支援策やサポートの情報が発信されています。それらは、企業や個人事業主などを想定していることが多いのですが、なかには、NPO法人も条件を満たせば対象となるものもあります。ここでは、おおまかな「支援策を探すポイント」をご紹介します。(2020年5月18日現在)


「使える支援策」をどう探すか

膨大な情報を一つひとつ吟味していくのはとても大変な作業です。

例えば「持続化給付金」や「東京都感染拡大防止協力金」、「持続化補助金」は、給付対象に「NPO法人」と明記されていますが、その他の支援策の多くがまず「NPO法人でも申請できるのか」を読み解くところから始めなければなりません。

各制度の要項等には「対象となる」ものと「対象とならない」ものが書かれています。まずはそこから対象外ではないことを確認します。多くの場合、支援について、NPO法人は「中小企業」の方を参照します。

その次に、求められている条件を確認します。

NPO法人の場合、大きく立ちはだかるのが「雇用」の壁です。事務局や役員、スタッフみんなのボランタリーな参加で支えられているNPO法人はたくさんあります。そういった団体も、新型コロナの影響を大きく受け、スタッフが自宅で作業するようになったり、オンラインでの会議を検討したりしています。一方、例えば「テレワーク導入」や「雇用・休業手当に関する助成」などについては、法人が職員を雇用していることを前提としています。ここでの雇用とは、例えば、活動で講師をしてくれた「謝礼」や、ボランティアさんへの「交通費」などではなく、雇用契約に基づいた関係(労務が発生していること)を意味します。

そのため、雇用している職員のいないNPO法人が「監事への役員報酬が支払えない」、「参加費無料のオンライン講座の講師謝礼を支払うことができない」と悩み、その確保のために「人件費」に使える資金を…と、雇用支援の助成金に申請することはできません。自分たちにとっての「人に支払うお金」が、「人件費(雇用により発生する費用)」かどうかも、確認しましょう。

また「スタッフとオンラインで会議がしたい」、「自宅で作業をしている他のメンバーと情報を共有したい」という場合には、特別な機材をそろえなくても、自宅のパソコンやスマートフォンでもできることがたくさんあります。無料のサービスを活用したり、非営利団体向けのサポートを利用することもできます。

活動内容や業種によって対象としている助成金・補助金などもあります。

例えば、 小規模事業者持続化補助金 コロナ特別対応型収益事業をしていること、認定NPO法人ではないこと、ビジネスモデル転換・テレワーク環境整備などへの投資に使える)や、 東京都感染拡大防止協力金 (東京都の休業等要請の対象となる施設を運営していること、休業等に協力したこと等)です。


事業による収入、寄付・会費・助成金・補助金による収入が減っていたら「持続化給付金」

雇用している職員がいない、休業要請の対象施設ももっていない…というNPO法人は多くあります。そういったNPO法人でも使えるのが「 持続化給付金 」です。

この給付金は「2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月がある」法人を対象にしています。

そして、NPO法人が使える特例があるのが大きな特徴です。具体的には、収益事業をしている(確定申告をしている)法人だけでなく、収益事業をしていないけど、事業による収入がある法人も申請できる支援策です。

例えば1月以降で「毎年開催していたボランティア養成研修が新型コロナの影響でできず、参加費収入が入らなかった」、「収入源だったイベントが中止になった」、「講師依頼がなくなり、収入がなくなった」法人なども、前年の同じ月の事業収入と比べて50%以上減っていれば、対象となります。

申請はオンラインのみですが、全国に申請サポート会場ができています。

提出書類も少なく、活動計算書や履歴事項全部証明書など、準備しやすいのが特徴です。

※詳しくは、 持続化給付金申請要領(申請のガイダンス) に掲載されています。

!新着!

「B-7 NPO法人や公益法人等特例」(活動計算書等で申請する)場合において、「会費」も、収入に含めることができると、示されました。

「新型コロナウイルス感染拡大に係るNPO法Q&A」 (内閣府)、 「持続化給付金に関するよくあるお問合せ」 (経済産業省)の「Q22」をご確認ください。

!新着! (9月3日)

「B-7 NPO法人や公益法人等特例」(活動計算書等で申請する)場合において、「寄付金等」を含めて「売上」に算定できるようになります。

要件があります。 「持続化給付金」に関する情報」(内閣府)「寄附金等を主な収入源とするNPO法人の皆様へ(持続化給付金)」(内閣府) をご確認ください。


融資ってどうなの?

最近は、NPO法人にお金を貸してくれる金融機関等も増えてきました。さらに、信用保証制度など、新たにNPO法人を対象に加えてくれた制度もでてきています。新型コロナウイルスの影響についても、様々な融資の情報が発信されています。NPO法人にとって、融資を受けられることは大変心強いことです。一方で、当然ですが、融資と返済はセットで考える必要があります(代表理事等が個人で連帯保証人になることを求められることもあります)。返済の見込がないまま、融資を利用したがために、後々支払いが大変になり、活動に支障が生じる場合もあります。団体内でよく検討し、慎重にご判断ください。


ボランティア・市民活動センターに相談しよう

それでも「自分たちに使える支援策って?」や「どれにも当てはまらないけど、他に方法はないのだろうか」と感じる方も多いと思います。実際には、事業者向けの支援策と、個人向けの支援策を両立させながら、個人と団体を守っていくことになると思います。コツは、自分たちの状況を客観的にとらえることです。「スタッフ」と呼んでいる人たちは、雇用関係にあるのか、「事業収益」のうち「事業の対価として受け取っている『売上』にあたる部分」は何なのか…など、制度に合わせて言い換える、いわば通訳をすることが求められてきます。

自分たちでその作業をするのが難しい場合は、ぜひ、本センターや近隣のボランティア・市民活動センターにも相談してみてください。新型コロナの影響に対する公的な支援策だけでなく、助成金の情報や、コロナに関わらない様々なNPO向け支援・サービスの情報があるかもしれません。

※NPOを対象とした幅広いサポートについては、別の記事で詳しく紹介する予定です


残された課題 -任意団体、小さな団体のこと-

この記事で紹介した支援策は、いずれも「法人であること」が条件となっています。

今、多くのNPOが苦しい状況にあります。任意団体、会費や寄付で支えられているNPO法人、普段はお金の出入りが小さい代わりにたくさんのボランティアに支えられているNPO法人、ここでは語られないそのようなたくさんの団体が、市民や社会のニーズにきめ細やかに対応してくれていることで支えられている社会があります。

また、法人だったとしても「使える支援策がない!」「もっと、こういうサポートが必要」ということもあると思います。

新型コロナという未曾有の事態に対して、様々な支援策・サポートが形づくられ、ニーズに合わせて日々改善・変更されています。既存の支援策・サポートに合致するものがないという場合には、そこで諦めず、ぜひ声をあげてください。きっと、同じように必要としている他の団体やたくさんの人たちがいるはずです。新しいものを作ったり、今あるものの形を変えたりしながら、多くのNPOを支える社会の仕組みにつなげていけたらと思っています。

(相談担当:M)