新型コロナウイルス NPOから寄せられる相談とQ&A(相談の窓口から)

NPO法人の総会
「集まらなくても、開催できる?」

キーワード:NPO法人、総会、オンライン、web、新型コロナウイルス


TVACには、NPO法人から総会・理事会の開催や運営についての相談が寄せられています。

一番多い質問が、密集状態を避ける・感染拡大を防ぐために総会を「実際に集まらなくてもできる方法はあるか」というものです。


定款を確認

まずは、自分たちの法人の定款を確認してみてください。通常の参加(表決権)について、確認しましょう。

定款の「総会での表決権等」を定めてるところに「やむを得ない理由により総会に出席できない社員(正会員)は…」という記載はありませんか? 実際に総会会場に出向くことができなくても、このあとに記載されている方法で、表決する(総会で意思表示する)ことができます。

例えば「書面、ファクシミリもしくは電磁的方法をもって表決し、又は他の正会員を代理人として表決を委任することができる」とあれば、実際に会場に足を運ぶ以外でも、①書面での表決(自分の意思で承認・不承認)、②FAXでの表決(自分の意思で承認・不承認)、③電磁的方法(メールなど)での表決(自分の意思で承認・不承認)、④他の正会員に委任する(委任した人の判断に任せる)、の4つの方法が可能です。

また、定款に「ウェブ会議、テレビ会議、音声会議等でのシステムによって総会に参加し…」とあれば、自宅などからウェブを通じてオンラインでの参加が可能となります。


集まらなくてもいい「みなし総会」

そのほかにも、NPO法ではいわゆる「みなし総会決議」というものがあります(社員総会の決議の省略)。

総会で議決権をもつ社員(正会員)が、書面または電磁的方法(メールなど)で全員の決議事項に対する同意があれば、実際に集まらなくても、総会で決めることがすべて可決・総会の決議があったとみなす、というものです。

この場合は、集まる必要はありません。

規模が小さく、正会員すべての方と連絡が取れる法人にはお勧めです(議事録は通常の総会と異なります)。


最少人数で開催する

上記の定款をもとにすると「直接、人が集まらない」形で総会をする一つの方法は、最小の人数だけが集まって、あとは、書面やメールで表決するというものです(またはオンラインでの参加。詳細は下記をご覧ください)。

具体的には、定款に記載のある書面表決や委任等の方法で定足数が満たせれば、実際に集まるのは最低限議長と、議事録署名人(定款に則った人数)だけという方法です。

この方法は、上記「みなし総会」ができない団体(連絡のとれない正会員がいるなど)、web・オンラインでの参加が難しい人が多い団体がとれる方法の一つです。議事録は、定款に則って議長・署名人の署名あるいは記名押印等が必要になります。


オンラインで開催する

内閣府の「新型コロナウイルス感染拡大に係るNPO法Q&A」において「社員が実際に集まらずとも、様々な新たなIT・ネットワーク技術を活用することによって、実際上の会議と同等の環境が整備されるのであれば、社員総会を開催したものと認められます」と明記されました。

これは、定款に「ウェブ会議」などの参加を記載していなくても、一部または全員がオンラインで総会に参加することができるようになり、実質、集まらなくても総会開催が可能ということを意味します。

ちなみにその際「情報伝達の双方向性、即時性のある設備・環境」設備が必要です。具体的には、参加者が言いたいときに意見が言えて、それを他の参加者がその場で聞けて…という環境です。多くの団体が無料で使えるオンライン会議のサービスを使っています。いろいろな種類があります。

オンラインツールを使い慣れていない正会員への事前フォロー(練習会など)、当日の「つながらない」トラブルへの対応などが必要になることがあります。


今後のために定款変更する

コロナ禍において、多くのNPO法人が総会・理事会等の開催や運営に頭を悩ませました。「うちの団体はメールで表決を送ってもらえる?」「書面表決と委任の違いって?」「結局、どんな方法で開催できるの?」。

まずは現在の定款の内容に沿った、会議の開催について知っておくことが必要です。

さらに最近は「理事会も、オンライン参加をOKとしたい」、「今後のために、FAXでも表決を送れるようにしたい」などの相談が寄せられるようになり、今後に向けて、会議の運営方法を見直す団体も増えています。定款変更には総会での議決が欠かせず、変更内容によっては、総会後すぐに有効とはならず、所轄庁の認証を待たなくてはなりません。

NPO法人にとって、社員(正会員)が参加する総会は、非常に重要な会議です。定足数を満たした「成立」だけを目指すのではなく、できる限り参加しやすい環境を整え、参加者同士の意見交換と、納得した合意ができることも大切です。そういった趣旨で、定款の変更を検討する法人も増えています。



〈参考〉


(相談担当:M)