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グループ・団体をつくろう! その3
方向を見さだめ、出発しよう

立ち上げ直後のリーダーの役割

したがって、世話役はグループとして活動し始めることができるように活動上の条件を整備し、一人ひとりがグループに参加しながら活動をしたい、という雰囲気づくりに努めることが必要です。いわば、世話役はグループづくりの仕掛人として、グループをつくろうと決心した以上、当初は、とくに列車を引っぱる機関車になる覚悟もまた必要です。
しかし、そうはいってもひとりだけですすめていると、途中で息切れしてしまうことが少なくありません。また、ひとりではものの見方、考え方が偏り、メンバーの気持ちとは別の方向に走る可能性もあります。このことから、活動を軌道にのせながら必要に応じて修正が行えるよう、グループ立ち上げの中心的な役割をつとめる呼びかけ人は複数いることが望ましいといえるでしょう。そして、中心的な役割を担う人たちが、仲間を集めるにあたって、立ち上げるグループの理念や目的、継続的な活動計画の原案を用意して呼びかけていくことが必要です。もちろん、グループが正式に立ち上がる時には再度、メンバー全員で活動計画を確認したり、当面の目標・方針を考えることが不可欠です。また、グループ立ち上げ後に参加する新しいメンバーの多いことも予想されることから、こうした人たちのために受入れ態勢を準備し、参加する人たちから歓迎されていることを実感できるような雰囲気づくりもまた、世話役の当初の大きな役割といえるでしょう。

リーダー・メンバー間で目的を共有しよう

世話役として、グループの立ち上げを呼びかけるからには、その世話役ははっきりした動機と目的をもち、さらに、具体的な目標を自分自身、はっきりともっていることと思います。そして、より多くの仲間といっしょに、自分たちが学んだ結果を実践につなげ、いかしたいと願っていることでしょう。できることなら、グループの一人ひとりが、グループを基盤として活発なボランティア活動をすすめてもらいたいという意向をもっていることと思います。
しかし、実際には世話役とグループヘの参加者との間には、問題意識や現状認識の程度について、少なからずへだたりがあるものです。一言でいえば、グループヘの期待はメンバーの人数だけあるといってもよいでしょう。中には、ボランティア活動を行うという呼びかけに応じて参加したものの、実際にはボランティア活動よりも仲間づくりをしたいと考えていたり、生活の変化を求めていたり、息抜きをする場所がほしいと考えて参加したという人もいることでしょう。また、グループが立ち上がると、もっとメンバーをふやしてもよいのでは、という考えの人や、せっかくできたグループだから知らない人はこれ以上入れたくない、という考えの人が現われて、グループの人間関係が一時的に緊張することもあるかもしれません。

メンバーに生き生きと活動してもらうために

とくにグループを立ち上げた当初では、世話役は、グループを立ち上げることによってメンバー全員で何を実現したいのか、共通理解を深めることが大切なのです。はじめからメンバー全員の考えを一致させることは難しいかもしれませんが、そこにメンバー全員の公約数となる共通の目標、あるいは、課題といったものがなければ、グループとして活動を続けていくことはきわめて難しいといえるでしょう。一方、メンバーの意見がばらばらだからといって、世話役がメンバーの意見を無理にまとめていこうなどとしてはいけません。グループとは、ひとりの人間のように変化し、成長していくものです。グループを立ち上げてまもなくは、個々ばらばらにみえた個人の集まりのなかに、個々人の目標や関心とは別に、メンバーに共通なグループの目標というものが次第に芽生え育っていくこともまた多いものです。世話役は、メンバーの意見の聴き役に回ったり、メンバー同士が意見を交わすことにまかせてみることも時には大切です。指示的、命令的なアプローチでは、結局は、いつも世話役自らがグループの重荷を背負うことになりかねず、得策ではありません。
そこで、世話役は、人びとにグループヘの参加をすすめるに際して、グループ立ち上げの目的を簡潔に、そしてはっきりと伝えることと同時に、相手の期待や要望、あるいは、不安といったことを十分に聴きとっておくことが必要です。そして、グループが立ち上がったら、メンバー一人ひとりが自主的に、そして協調的に活動できるように下準備をしておかなければならないのです。
実際にグループヘの勧誘をする場合には、新しく生まれるグループがもつであろう魅力、そのグループに参加することの意義、グループの理念や活動計画案、他にどのような人たちがグループに参加しようとしているかを説明しなければなりません。また、予定される活動の期間、回数、時間帯についての見通しや、グループを運営していくためにメンバーが負担すべき会費などの有無やその額、活動のための交通費などはどうするのかについての原案も用意しておくことが必要です。もちろん、世話役が何もかもひとり決めするのは望ましいものではなく、グループが立ち上がり、活動が現実のものとなった時点で、改めてメンバー全員の総意を問わなければならないでしょう。

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