事業名 | 施設数 | 受益者数 |
大学進学支援事業 | 24施設 | 児童:33名 |
高校生支援事業 | 17施設 | 児童:73名 |
中学生支援事業 | 16施設 | 児童:355名 |
小学生支援事業 | 23施設 | 児童:229名/職員:174名 |
児童養護施設に暮らす子どもたちの大学等進学率は22.6%となっており、全高卒者平均56.1%を大きく下回っています(令和4年5月、こども家庭庁調べ)。多くの子どもたちが、家庭での学習環境が整っていなかったため、施設への入所時には既に学習が遅れていたり、経済的な理由によ大学進学を断念せざるを得ない状況にあります。
このような現状から、進学支援プロジェクトでは、進学段階別に、下記の4つの支援事業を行っています。
NPO法人JAMネットワークと連携しながら、コミュニケーション力を身につけることにより学習意欲を向上する子ども向けのワークショップ『ことばキャンプ』、子どもたちのコミュニケーションを日常的にサポートする職員向けのセミナーを実施します。
NPO法人キッズドアと連携しながら、大学生ボランティアによる学習支援の『学習会』、大学進学意欲の向上を目的とした交流イベントを実施します。
四年制大学進学のための塾代の助成、公益社団法人ジュニア・アチーブメント日本との連携による進路選択に関する『キャリア・メンタリング』を実施します。
四年制大学在学中の学費・生活費の助成、施設とケースワーカーの連携によるアフターケアを実施します。
※ 『ネットワーク』324号(2013/6・7月号) に、進学支援プロジェクトの中間報告(成果と課題)を掲載しています。
子どもたちが、自分を表現する力や相手の気持ちを理解するコミュニケーション力を身につけることで、人間関係が円滑に結べるようになる上、自分自身を認める気持ちが高まり、学習意欲の向上にもつながります。
施設職員が、子どもたちのコミュニケーション力の向上を日常的にサポートする体制ができることを目指して、『ことばキャンプ』の成果について職員全員で共有し、活かせるようにします。
『ことばキャンプ』のワークを重ねる度に、子どもと職員、JAMネットワークの方との関係が深まり、互いを思いやる言葉が聞こえてきました。子ども達が大人を信頼し、ありのままの自分や相手を受容していく過程は、苦しいことも喜びも皆が共有できるかげかえのない成長を育みました。職員セミナーは実践的で、日頃の職員の言葉と課題が視覚化されて良かったです。今後は、参加した子ども達による低学年向けの『ことばキャンプ』を実現すべく頑張ります
子ども達と個別に関わり、集中的にほめることを通して、子ども達をゆっくり見守り、成長を実感できたので、子ども達と職員双方にとって良い時間となりました。また、肯定的な言葉を扱い、何度も人前で発表する機会が、子ども達にとって自分の良い所を認め、自信を持つきっかけにつながったと思います。『ことばキャンプ』終了後も、子ども達が集まる機会がある時は、「はい、聞く耳モードで……」と声掛けをし、普段の生活の中で活用してきています。
『ことばキャンプ』は、子ども達にとって安心・安全な場所だった為、子ども達の発言意欲や他児への共感、他事を認める発言につながり、とても嬉しい気持ちになりました。
大学生ボランティア・チームにより、月2回・半年間(全12回)に渡り、個別学習支援を実施します。子ども達に個別カルテを作成して学習方法のアドバイスを行い、「自学自習」できる習慣作りを応援します。また、秋には大学の学園祭を訪問し、大学進学の意義について深く考える機会を作ります。子ども達は、大学生を将来の目標(ロールモデル)として、学習意欲および進学意欲を高めることができます。
単なる学習指導のみならず、子どもたちに自分の将来のビジョンを描くためのヒントを沢山与えてくださったプロジェクトでした。将来について考えることは、狭まりがちな施設の子どもたちの視野を広げるきっかけとなり、また、目の前の学習課題を解くことを含めそれぞれの現時点での目標を自分で掲げることにもつながっていくと思います。
プログラムに参加させて頂いた子ども達は、2週に1度の学習の時間を本当に楽しみにしていました。大学生が子ども1人に対して毎回ほぼ2名がつき、担当した子どもの学力、興味、関心を考慮し、教材に取り入れながら丁寧に教えてくれていました。学習終了後の学生からのメッセージカードや手作りの教材は、子ども達にとって何よりも嬉しく、学習意欲につながったのではないかと感じました。
毎回、多くの大学生ボランティアさんと社会人ボランティアさんが一生懸命に取り組んでくださり、児童も毎回参加することを楽しみにしていました。学校の勉強に直接反映されたのが良かったと思います。大学生と交流できたことが、児童の何よりの糧となり思い出となりました。
この度、進学支援プロジェクトに参加させていただき、ありがとうございました。初回の緊張のなかスタートしたころと比べ、最終日には児童それぞれの成長が感じられるほどになっておりました。これも、12回の学習会でキッズドアの方々の1人1人の児童に対しての丁寧な関わり等があったからこそと思っております。おかげさまで、児童の学習意欲につながり、現在塾に通い始める等の成果が出ております。本当にありがとうございました。
2014年8月3日(日)、上記(1)の“学習会”に参加中の中学生を招待し、英語で交流するプログラム『English Fun Fun Party』を開催しました。子ども達は各々、ゴールドマン・サックスの社員ボランティアとペアになり、クイズやゲームを通して英語によるコミュニケーションを楽しみました。進学支援プロジェクトの奨学生である高校生は、英語と日本語で中学生への応援メッセージと将来の夢をスピーチしました。すべての子ども達がこの“Party”の主役になりました。
社員ボランティアによる英語の自己紹介(行きたい国や好きな日本の有名人等)
ヒアリング・クイズに備えて、子ども達は真剣に聞き取っています。
※平成27年度より大学進学支援事業へ統合
四年制大学への進学を希望している高校生に対し、奨学金として1年間の通塾代や夏期・冬期講習の経費を助成します。また、ケースワーカーが施設と連携しながら、学習や進路等の相談に応じます。
高校2年生(6名) | 1年間の通塾費 |
高校3年生(6名) | 1年間の通塾費、夏期講習および冬期講習の費用 |
※上記資金の支給には上限がございますので、詳細は東京ボランティア・市民活動センターの事務局までお問い合わせください。
〔奨学生〕 高2から支援してくれる奨学金制度がなかなかないので、大学進学を希望している私にとって、とてもありがたいことです。施設では得られない環境を手に入れることができ、勉強により一層身が入りました。支援していただいているお気持ちや費用を絶対に無駄にしないように、夢を叶えるべく、今から努力していきます。
〔職員〕 担当児童は中学生の頃に“薬剤師になりたい!”との夢を持ち、国公立大学に入るための勉強を考えている時にこのプロジェクトを知りました。現在、苦手な数学を受講し、学力も向上してきております。ご支援を受け「夢を実現し、施設の子も大学進学の夢が実現できることを伝えていく!」と張り切っています。同寮の子ども達も大学が身近なものに感じるようになりました。子ども達の希望を持った姿が見られ、本当に感謝しております。ありがとうございます。
〔奨学生〕 私は、このプログラムに合格し、中学校時代に通っていた塾へ再度行くことが出来ました。そのおかげで、定期テストでは90点から100点満点をとることができました。今は指定校推薦で東京造形大学アニメーション学科を目指して、毎日頑張っています!!
〔職員 服部 智史さん〕 このプログラムを利用させていただき、児童の大学進学への可能性が高くなりました。指定校推薦を狙っているのですが、定期テストの点数が見違えるほど上がりました。今後も元気にタッグを組んで、大学進学を目指します。
〔奨学生〕 学習塾に通うことで、大学を目指している高校生と交流を持つことができ、互いにモチベーションをあげることができます。そして今、自分が本当にすべきことは何か、アドバイスも頂けるので、勉強に励むことができます。
〔職員 高木 勇介さん〕 高校生に対する、通塾等の進学準備費用の捻出が難しい中で、今回のプログラムは、特に進学の意志が強い児童にとって千載一隅の機会だと感じております。これまで不利益を被ってきた児童が、希望を持って夢の為に進学をしたいと胸を張って言えるようになったのは、こうした絶好の機会を頂けたからだと感じております。
2014年7月24日、大学進学を目指している児童養護施設の高校生を六本木ヒルズのゴールドマン・サックスのオフィスに招待し、進路選択に関するプロジェクト「キャリア・メンタリング・プログラム」を実施しました。ゴールドマン・サックスの社員ボランティアによる面接のロールプレイングや進路ガイダンス、グループディスカッションを通して、職業選択の幅広さや自分自身の強み・課題を知り、面接で効果的にアピールする方法を学ぶ機会となりました。
『面接のロールプレイング』および『進路ガイダンス』
自分の長所を自分の言葉で説明する練習をし、進路の選択肢とその実現のためのアドバイスを受けました。]
東京都またはその近隣県の四年制大学への進学を強く希望している東京都の児童養護施設・母子生活支援施設等の児童に対し、奨学金として学習費(施設在籍中の学習塾利用に関する経費)及び修学資金(大学在学中の学費等)を支給します。また、ケースワーカーが、施設と連携しながら学習や進路、生活面の相談に応じます。
本事業は、施設在籍中に大学入学後の支援が確保されることにより、児童・施設共に安心して第一志望校を目指すことを目的とします。
学習費 | 大学受験にかかる通塾代や夏期・冬期講習の経費 |
受験料 | 大学の受験料の実費(1校の受験料・合格した場合のみ) |
初年度の入学金および学費 | 大学の入学金や初年度に支払う授業料、教科書代などの実費 |
2年生以降の学費 | 授業料、教科書代などの学費 |
学用品・参考図書類の経費 | 進学に際して必要な学用品費 |
通学費 | 自宅から大学への通学費 |
転居費 | 進学にともなう転居等の費用 ※実費 |
※上記資金の支給には各種規定がありますので、詳細は東京ボランティア・市民活動センターの事務局までお問い合わせください。
〔奨学生:成蹊大学 法学部法律学科〕 このプログラムによって生活面や金銭面を支援していただき、希望の学部で学ぶことが出来て、とても嬉しく思います。自分を支援して下さる人がいることによって更に頑張ることが出来ています。このプログラムに是非応募してみて下さい。自分のやりたいことをとことん出来るようになります。
〔職員 岩田 千弘さん〕 大学生活を送っている本児にとって、本プロジェクトの支援は経済的な部分はもちろんですが、定期的なボランティアセンターのケースワーカーとの面談で、生活状況や学習面での把握と共に、心理的にも大きな支えとなって頂いています。
また、同じようにプロジェクトに参加している児童との繋がりの中で、先輩の話を聞きながら本児なりの生活面での工夫を始めたようです。
沢山の出会いの中で、沢山の方に支援して頂いている事に感謝の気持ちを忘れずに、4年間の大学生活の中で多くの事を学び、将来に繋げて欲しいと思います。
〔奨学生:国際基督教大学 教養学部アーツ・サイエンス学科〕 私はこの奨学金をいただいて第一志望の大学に入学し、夢のキャンパスライフを送っています。皆さんも夢をあきらめず、チャレンジを忘れずに頑張って下さい。応援して下さる方々はたくさんいらっしゃいます!
〔職員 髙木 勇介さん〕 経済的な支援だけではなく、ケースワーカーが月に一度様子を見て下さったり、生活上のアドバイスもいただき、本当にありがたいです。担当職員と児童との二人三脚を力強く支えて下さっているように感じます。児童がイキイキと新生活を張り切り、学業にも変わらず精を出せているのは、力強いサポートがあってこそだと思っています。
〔奨学生:東京工科大学 コンピュータサイエンス学部コンピュータサイエンス学科〕 私はゴールドマン・サックスの奨学金を受けることが出来て本当に良かったと思っています。この奨学金が無かったら私は大学に行くことが出来たとしても、学費を稼ぐのが精一杯で勉強に集中することが出来なかったと思います。今は奨学金があるおかげで自分の勉強したいことに集中できています。
受験で挫けそうになって自分の将来の選択肢を狭めるのはもったいない。くじけそうになっても周りには必ず応援してくれる人がいます。もちろん私も応援しています。大学に入れば大変なこともありますが、楽しいことの方が多いです。なので大学進学を諦めないで下さい。そして受験勉強がんばってください。
〔職員〕 過去に母子生活支援施設を利用していた児童の中には、大学進学を希望する児童がいましたが経済的な理由で諦めてしまうケースがありました。今年度より、この支援プロジェクトに参加することで、経済的・精神的な面でサポートをして頂き、順調な大学生活を送ることができています。また、他の奨学生との交流を通じて社会性を育み、社会へ出る準備として良い機会となっています。母子生活支援施設からの支援プロジェクトの利用は、タイミングの問題もあるので難しさもありますが、積極的に参加をして欲しいと思っています。
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