株式会社ADEKA・ADEKA労働組合

株式会社ADEKAは1917年に旭電化工業株式会社として荒川区尾久に誕生し、2006年に社名を『株式会社ADEKA』とし、再び発祥の地に戻って来ました。これを機に、地元に何か貢献できないかと考えていたところ、区議会議員の方から「障害のある方を対象としたボランティア活動はどうか」とのアドバイスをいただき、株式会社ADEKAおよびADEKA労働組合が協賛し、荒川区社会福祉協議会の後援で、2008年に第1回ADEKAミュージックサロン(以下ミュージックサロン)を開催することになりました。2018年には第11回のミュージックサロンを開催し、活動は12年目に入っています。
ミュージックサロンは、ADEKA本社の15階を利用して、荒川区在住の身体障害や視覚障害等のある約60名の方を荒川区社会福祉協議会を通じてお招きしています。ADEKA茶道部による呈茶のおもてなしと、東京藝術大学の学生を中心とした4~5名による弦楽四重奏や木管五重奏等の演奏が行われています。
演奏会の内容は、回によって工夫が凝らされていますが、クラッシックの名曲や歌謡曲、童謡等が演奏されています。参加者は、名曲をじっくり聴いたり、一緒に歌ったりと楽しい時間を過ごしています。お帰りの際には、ADEKA製品のお土産も配られ、参加者の皆さんから、「ありがとうございました。」、「次回も楽しみにしています。」という声をかけていただいています。また、参加団体の『荒川やさしい街づくりの会』からは参加者全員のお礼のメッセージが書かれた色紙も届いています。
このミュージックサロンは、障害のある方が普段聴く機会の少ない生演奏を楽しむことができるというだけではなく、会場が本社ビルの15階であることから眺望が非常に良く、茶道部の呈茶のおもてなしも相まって、とても心地良いひと時を過ごすことができることも、人気の理由のようです。
演奏者からは、「演者と聴衆の距離が近いので反応がすぐわかり、今後の演奏の参考になった。」、「普段、障害のある方と接することがなかったが、障害は特別なことでないと感じた。」等の感想をいただいています。また、サロンに参加したADEKA社員のボランティアスタッフは、参加者の感謝の言葉や次回開催の要望等がとても励みになっており、さらに、本社ビルの施設面の課題にも気づくことができました。例えば、電動車椅子は介助者がついていても、10㎝の段差が障壁になること等です。
ADEKA労働組合の担当は、このような障害のある人たちとの心温まる活動を今後も続けていきたいとおっしゃっています。
【取材・記録】東京ボランティア・市民活動センター