(2012年4月13日 / 秋池智子 )
『ネットワーク』WEBオリジナル記事
3.11東日本大震災 私はこうして凌いだ —食の知恵袋—
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- 東日本大震災 、 ネットワーク 、 TVAC発行物
それは突然の出来事だった
大きな揺れが長く続き、私たちの日常は一変した
あのとき、雪が降っていた
あのとき、電気が止まりとても心細かった
寄り添い、震え、不安な夜を過ごした……
こんな書き出しで始まるこのブックレットは、東日本大震災をしのいだ人びとの食の体験を、市民センター合同企画(宮城県仙台市)がまとめたもの。内容は、食べ物や水が不足し、ガスも電気も使えない状態で工夫してつくった料理の「レシピ集」、震災時の「食にまつわるエピソード」、そしてアンケート「あのとき、役に立ったもの、欲しかったもの」で、被災した人たちの記録が詰まっています。
被災直後は、生きるためだけの「食」であったかもしれません。けれども、温かいもの、おいしいものを口にしたことをきっかけに、人びとが笑顔や希望を取り戻していく様子が行間からあふれています。
レシピ集では、制限されたなかでも見た目が美しく、味がよく、バランスのとれた料理のレシピがカラーで紹介されています。そして、ご近所の人が分けてくれた貴重な食べ物、自ら被災しながらも店頭販売を続けたお店の人の心意気、買い物の行列を待っているときに差し出された飴玉……など、過酷な状況でも助け合う人びとのエピソードに続き、この体験を今後の教訓に生かすべく、被災者へのアンケートから日ごろの備えについての分析・考察も掲載しています。
先月、私は三鷹市にある「プーの森」というお店で、ラベルのない缶詰を買いました。津波で水産加工工場が流されたために、ラベルがはがれて裸んぼうになったのだそうです。中身はわかりませんが、この缶詰を開けたら、そのときにある家の食材で、できるだけガスや電気を使用しない方法で、でもおいしく食べてみよう—そんなふうに思っています。
A5判/48ページ/300円
発行:公益財団法人 仙台ひと・まち交流財団
編集:仙台ひと・まち交流財団・市民センター合同 G8企画プロジェクト
ご参考URL
仙台ひと・まち交流財団
http://www.stks.city.sendai.jp/hito/WebPages/index.html