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(2012年12月19日 / 福田 遊 )

TVACレポート

2012年12月9日、飯田橋セントラルプラザにて「家族介護を考えるつどい」を開催しました!

キーワード
家族介護 、 介護 、 つどい 、 男性介護者 、 家族介護者の会 、 被災地

12月9日(日)、飯田橋セントラルプラザ12階で「家族介護を考えるつどい」を開催しました!

冬晴れの日曜日(but寒さ厳しい)中、家族介護者の方、家族介護者の会の方、介護者支援団体の方、支援者の方…、いろいろな立場の方々にお越しいただき、参加者は60名を超えました。


2008年より、キリン福祉財団の助成を受けて始まったこの「つどい」。昨年(2011年)は、東日本大震災の影響で中止しました。そのため、今年また開催できたことは、私たちTVACスタッフにとっても大変嬉しいことです✿


今年のプログラムは、午前中のシンポジウムと午後に3つの分科会


午前中

シンポジウムは、「3.11-そのとき介護者は」と題し、福島県相馬市の地域包括支援センターのAさんと、福島県いわき市より都内に避難中の介護者Eさんをお招きしました。発災時、介護者はどんな状態に置かれたのか?家族は?要介護者は?…当事者でなければ分からない、現状と課題についてお話しいただきました。

シンポジウムの様子


Aさんは淡々と、また時折笑いも混ぜながら、発災後の混乱期に支援することの難しさをお話しくださいました。まず介護者自身が助かること、そして要介護者の安否を確認する方法を家族で決めてくことが大切だということが分かりました。また、多くの人が福島を去っていく中、介護・看護に携わる専門家も減少しているそうです。仮設住宅での暮らしがはじまり日常が戻ってきたように見えても、発災前と同じような支援を続けることはできていないということでした。誰かを支援すること、誰かの生活をサポートすることを仕事にしている人にとって、このような状態はとても辛いことなのではないかと思いました。


Eさんは、時折涙もにじませながら、ご自身のこと、ご家族のこと、介護しているお母様のこと、幼い娘さんのことなどを語ってくださいました。ひとつひとつ思い出すようにお話しされる姿からは、地震・津波の恐怖に加え、その後も混乱続きだった当時の様子をうかがうことができました。日常が一瞬にして失われることの恐ろしさが、ひしひしと伝わってきたように思います。介護、育児をしながら、避難所でどれほど肩身の狭い思いをされてきたのか、飲み水ひとつ手に入れるためにも長蛇の列ができるような状況で、家族を世話することがどれほど難しいか…。また、被災者支援の情報が被災者には届いていなかったことや、東京での新しい暮らしでEさんご自身も家族も疲弊していく過程のお話には、胸が詰まりました。


シンポジウムからは、Aさん、Eさんのような方々が日本には大勢いらっしゃることを改めて実感することができました。

ここ東京でも、今後大震災の発災が予想されています。お二人の貴重なお話しを無駄にせず、しっかりと備えていくことが私たちには求められていると思います。


午後

分科会は、ABCの3つに分かれて行いました。


Aの分科会は、「教えて!みんなの活動-楽しく続くヒケツは?」と題して、主に家族介護者の会の方にご参加いただきました。

分科会Aの様子

所属している会のチラシパンフレットもお持ちいただき、活動内容や取り組みについてご紹介いただきました。ためになる勉強会や楽しいイベントなど、活動がマンネリ化しないよう、苦労されている会も多いと聞きます。また、新しく会を立ち上げることや参加者を募ることも簡単ではありませんよね。この分科会が、お互いに活動のヒントが見つかるような情報交換の場になったのではないでしょうか。



Bの分科会は、「集まれ!オトコ介護-男性介護者からの発信」と題して、主に男性介護者のみなさんにご参加をいただきました。

分科会Bの様子

男性のなかには、女性のように気軽に気持ちを吐露できない方もいるとか…。その一方で、男性の介護者だからこそ直面する課題も多いのではないでしょうか。男同士だからこそ話し合える、共感できることもあるかもしれません。さて、いざ分科会が始まると、みなさんお話ししたいことが沢山あり、時間が足りないくらいだったようです。小さな会議室は熱気で溢れていました。これからも、男性介護者の方に語って頂く場を作ることが必要なのではないかと感じました。



Cの分科会は、「語ろう!介護と家族-介護のいまを見つめる」と題して、家族介護者の方介護者の支援をしている方々にご参加いただきました。

分科会Cの様子

これまで、老老介護、遠距離介護、シングル介護…etc.いろいろな言葉で語られてきた「介護」。加えて、昨今は仕事と介護の両立も大きな社会的課題となってきました。地域の中での結び付きが小さくなるなかで、また家族(世帯)も小さくなるなかで、介護の問題が、ますます深刻化しているように思います。この分科会では、「家族」という切り口から介護の現状と今後の課題をお話しいただきました。


その後

各分科会で進行役を務めてくださった4名の方(分科会Cから2名の方)に分科会の報告をしていただきました。それぞれの様子を全体で共有するためです。

全体会の様子

どの分科会もたくさんの発言があったにも関わらず、短い時間でまとめてお話しくださった報告者のみなさん、ありがとうさいました。聞いている参加者の方の中には、ウンウンとうなづきながら耳を傾けている方もいらっしゃいました。自分が参加した分科会と他の分科会、一見異なっているようで、共通する部分もあったのではないでしょうか。



✿さて、今年の「つどい」も多くの方々のご協力をいただき、開催することができました。この場を借りて、お礼申し上げます。本当にありがとうございました

「家族介護」には、まだまだ解決できていない課題が山積みです。一人で抱えこまないこと、同じ境遇にある人と知り合うこと、誰かと情報を交換すること、今後について語り合うこと、将来に備えること…。

あなたの悩めるひとことも誰かにとってはきっと大切なアドバイス。今回の「つどい」が、参加者のみなさんにとって何かのきっかけヒント新しい一歩につながっていれば、とても嬉しいです。


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