2025年9月6日、「セルフヘルプ・ グループからのメッセージ~きこう・はなそう・しりあおう~」を開催しました。このイベントは、当事者が主体となって多様な活動をおこなうセルフヘルプ・グループについて、市民に広く知っていただき、その活動がもつ意義を社会に伝えることを目的としています。当日は、セルフヘルプ・グループを運営している方、中間支援組織、助成団体の方を含む34名の方々が参加しました。
(会場の絵は、インターンとして参加した明治学院大学の学生さんたちに書いていただきました)
今回は、3つのセルフヘルプ・グループの方々をお招きしました。前半は、APD当事者会APSの喜島隆大さん・うめはらさん、IIDKのさとうさん、双極シニアの山崎ふくろうさんから、グループの運営にかかわる経緯や想い、ご自身にとってなぜこの活動が必要か、参加者からどのような声があるか、などについてお話いただきました。
◆APD当事者会APS 喜島隆大さん・うめはらさん
LiD/APD(聞き取り困難症/聴覚情報処理障害)のピアサポートの活動をしています。LiD/APDとは、「聞こえている」のに、「聞き取れない」、「聞き間違いが多い」など、音声をことばとして聞き取るのが困難な状態を指します。こうした症状によって仕事や学校に行けなくなったり、困っている人が多くいるため、発信していく必要があると感じています。APSでは通常の交流会やイベントのほか、約2200名が登録しているオープンチャットの運営、当事者会の運営支援や企業、教育機関との協働なども行っています。3か月に1回、池袋のバーを借りてLiD/APDバーを開いています。どなたでも参加できるのでよかったらお越しください。
第5回LiD/APD(聞き取り困難症/聴覚情報処理障害)バー 2025年11月14日(金)18:00-23:00
◆IIDK さとうさん
不登校、ひきこもり、発達障害などの生きづらさがある本人と家族が参加できる居場所(月1回土曜)や講演会を開催しています。前身団体である一般社団法人生きづらさインクルーシブデザイン工房が解散した後、それまで参加していた人たちの居場所を続けていくために、自分たちができる範囲でやってみようと2024年から活動しています。居場所では参加者の様子を見て、初心者向けのボードゲームをしたり、参加しやすい雰囲気になるように音楽を流すなどの工夫をしています。参加者の方からは、「ゆったりしていてよい」「無理に話さなくても良い雰囲気で慣れてきて、ここに居てもいいんだと思える」などの声をいただいています。生きづらさを抱えた人はたくさんいて、一人ひとりの違いがあるので、いろいろな特色をもつ居場所がたくさんあることが大事だと思っています。
◆双極シニア 山崎ふくろうさん
双極症(双極性障がい、躁うつ病)は、躁状態とうつ状態を繰り返す脳の病気です。当事者会はこれまでもありましたが、なかなか同世代に会えず、寂しく感じていた仲間で双極カフェを始めました。重い精神疾患やトラウマを体験した人たちは、つらい体験を語ることに抵抗があり、スティグマの力に押されて、言語化が難しい場合も少なくありません。同じ体験をした当事者同士であることで安心してトラウマを語れたり、それを聴きあうことがリカバリーにつながるという思いから、一人でも多くの仲間に居場所を届けることを目標にしています。残された短い時間、自分はつまらない、つらいだけの人生だったのかと問いがちになりますが、それぞれに合うやり方で「解放」を見つけ、自分の人生に折り合いをつけようとするときに、当事者会がその伴走者になれると考えています。
後半は、3つのブースに分かれて、登壇者を交えて参加者が感想を話したり、意見交換をする交流会をしました。参加者からは、「それぞれ全く異なる当事者団体の方から様々なお話を聞けてとても貴重な体験でした。 当事者団体の存在が当事者にとってとても大きな力になっていることを理解できました」「会をやっていく上での気持ちの再確認ができた。セルフヘルプグループのサポートを引き続き期待しています」などの感想をいただきました。
東京ボランティア・市民活動センターでは、セルフヘルプがもつ価値を社会に伝えたり、運営のご相談などをとおして活動をサポートしたいと考えています。当センターでの取り組みについては、以下のサイトもご覧ください。
東京ボランティア・市民活動センター「セルフヘルプという力」
