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被災地から帰った災害ボランティアの方へ 心のケア、ストレスケアのヒント

被災地から帰った災害ボランティアの「大災害と惨事ストレス」

大きな災害にあい、またはその場で活動することで、からだや気持ちに様々な変化(ストレス反応)が起こることがあります。これらの反応は、直接災害に関わったときだけでなく、被災された方から間接的にさまざまな災害体験を聞くことによっても生じることがあります。

あらわれ方や強さは人によって異なりますが、誰にでも起こります。この変化は、傷ついた体や心が回復しようとするときに起こるもので、異常な状況の中で起こる「正常な反応」です。これは「惨事ストレス」と呼ばれるストレス反応の一部です。

普通、これらの反応は、時間とともに消えていきますが、時にその状態が長く続き、ふだんの生活や仕事、学業に支障をきたす場合には、カウンセリングや治療の助けをかりて改善できることがあります。

災害や事故で活動された皆さんに現われやすい反応は、以下のようなものです。

以下のような反応が出ても、それはあなたが「弱い」からではありません。災害に何らかの立場で触れた人には誰にでも起こる反応なのです。

a)興奮状態が続く
興奮状態が続き、寝つけず気持ちが落ち着かなかったという反応はよく見られます。とくに「自分は役に立たなかったのではないか」などの自分を責める気持ち、「早く、また現場に行かなければ!」というあせりなどが起こりやすくなります。

b)体験を思い出す
折に触れ、現場のことを思い出し、フラッシュバック(突然とても鮮明に現場の情景や人の言葉が思い出されたり、夢に見たりする現象)が起こることがあります。

c)思い出すことを避けようとする
現場で起こったことについて、人に聞かれることも、思い出すこともわずらわしくなることがあります。記憶があいまいになったり、現場に関する報道を見たくなくなったりすることもあります。

d)身体の不調
眠れなくなったり、頭痛や肩こり、めまいなどが出ることがあります。疲れやすく、仕事や学業に集中できなくなった方もいます。

e)周囲との摩擦
周囲の人に対して、ふだんなら感じないような不満や怒りが急に出てきたり、人に対する信頼感が急にわいてきたり、逆に極度の人間不信におちいることもあります。

f)話せなくなる
自宅に帰ると、現場のことを話せる人がまわりにいない、話してもわかってもらえないかもと思って、無理に胸にしまい込み、孤立感にとらわれる方もいます。

惨事ストレスを軽減するために

1)まずは帰宅後、ゆっくり休養をとってください(活動中にもマメに休息をとります)。
心もからだも、自分では気づかないうちに疲れがたまっています。
まずはゆっくりと休んで下さい。
休もうと思っても、興奮状態が続いて寝付けなかったり、「休めない」「休んではいけない」という気持ちになることがあります。
あまりに寝られないようであれば、医師に相談することも有効です。

2)親しい方と一緒にすごして下さい。
大切な方や身近な友人と時間を過ごしてください。
ひとりではなく、誰かと一緒に過ごすことで、安心できたり、気持ちが休まることがあります。
大切な方々は皆さんのことを気づかい、そして、心配しています。
被災地から帰ってきたら今度は皆さんが寄り添ってあげてください。

3)少し活動が落ち着いたら、一緒に活動した仲間と話し合う機会を作って下さい。
被災地で起きたことや感じたことを仲間と話し合ってみてください。
一緒に活動した仲間と話をし、励ましたり、支え合ったりすることが大切です。

現場や帰宅当初は何のストレスも感じていなかった方でも、時間が経ってからストレスを感じることがあります。辛さを感じてきたら、専門機関に相談してみて下さい。

皆さんの活動が、被災された多くの人を救います。

どうぞ、活動する皆様ご自身が辛い思いを残しませんよう、お互いにも気遣い、声をかけあってください。

出展:災害ボランティアの惨事ストレス プチガイド

監修:岡野谷純(NPO法人日本ファーストエイドソサェティ)、松井豊(筑波大学人間総合科学研究科)
協力:災害援助研究会(堀洋元ほか)
→全文は以下のページに掲載されています。Word形式でダウンロードすることもできます。
http://www.human.tsukuba.ac.jp/~ymatsui/disaster_manual5.html

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