市民社会をつくるボランタリーフォーラムTOKYO 2020

Survivors of Incestuous Abuse/略称:SIAb.(シアブ)

「Survivors of Incestuous Abuse/以下SIAb.(シアブ)」は、「近親姦虐待被害の当事者どうしがつながり、お互いの回復と成長を語り、学び合いながら、健康的な社会生活を取り戻していこう」をスローガンに活動している団体です。

代表のけいこさん、コアメンバーのそのみさんにお話を伺いました。


はじまりの物語 ~近親姦虐待被害に特化した活動を~

性暴力被害当事者の会のメンバーだった、けいこさんが「性暴力と近親姦の被害はつながってるけれど、近親姦被害の場合は、加害側とその後も関係が続いていくという違いがある、と感じるようになり、近親姦被害に特化した活動を望んで」、2013年の4月に立ち上げたグループがSIAb.だ。近親姦被害に遭った人は、世間や地域のタブー視による、カミングアウトすることの困難さに加え、メディアにも本当に伝えてほしいことを取り上げられず、歪曲して報じられてしまうことが多くあったり、その度に傷つき、苦しむという。


シェアミーティングと動画配信の両輪

そこで、SIAb.での活動はシェアミーティング*を基本とし、もう一方で動画などによる発信をすることとした。動画はホームページに公開されており、活動を知ってもらうためのダイジェスト版やメンバーが語り合うトークセッションを見ることができる。

シェアミーティングには、20代から70代の方が参加している。ホームページで動画を見たり、ツイッターで知ることにより参加する人が多いという。関東近郊に住んでいる人が中心ではあるが、遠方からの参加者もいるそうだ。

「いつものメンバーどうしだと最近の出来事を話すことが多くなりますが、新メンバーが来てくれると、自分の体験をあらためてふり返り、新鮮な発見をすることがあります」。はじめて参加した人が「やっと来ることができました」と言うことも少なくない。

現在、近親姦に特化したグループは他になく、「新しい人も従来のメンバーもみんな大切な存在」だという。はじめて参加する人の声や仲間の存在が活動を続ける原動力になっている。


誰にも言えなかったことを話せる場所

近親姦被害からの回復には時間がかかるが、この点は社会的にほとんど理解されていないと2人はいう。「自分が被害を受けたということに向き合えるようになるまでに、多くの人が10年~20年くらいかかっています。心身ともに大変なのは、むしろその後。そのことをもっと知ってもらいたい」と、そのみさん。近親姦はポルノ的な関心でメディアに取り上げられることも多く、家族の中で起きる被害・加害の複雑さ、被害後のケアの必要には関心が向きにくい。「回復までのプロセスがどんなにしんどかったかは、扱ってもらえない」という現実がある。

まだまだ、近親姦は精神科医でも取り扱わないことが少なくないという。けいこさんは「通っているクリニックや夫との出会い、そして、セクシュアルマイノリティなど世の中の当事者活動の動きがなかったら、動けなかったかもしれません」と語る。「SIAb.はその後の困難を生きる当事者たちにとって、それまで誰にも言えなかったことを話せる場所。ミーティングは私たちにとって、安心して気持ちを吐き出せる場なんです」とけいこさんはいう。

タブーとされる物事に向き合い、動くことは大変に勇気のいることではないだろうか。

SIAb.の活動はホームページで知ることができるので、当事者の人はもちろん、あらゆる立場の人に見てもらえればと思う。


* SIAb.では、「誠実な自分の心を語り、自分と向き合う。仲間の語りを真剣に聴いて、自分と向き合う」ことを大切に「いいっぱなし・ききっぱなし」というルールのもとにミーティングを開催している。


Survivors of Incestuous Abuse/略称:SIAb.(シアブ)

http://siab.jp/

近親姦虐待被害の当事者どうしがつながり、お互いの回復と成長を語り、学び合いながら、健康的な社会生活を取り戻すことを目的として活動している。


メンバー 当事者

活動内容 自助グループ活動/当事者の声の配信/情報提供、他

活動エリア 新宿区/渋谷区、他

相談 なし(参加者全員に質問する形で、他の人の体験や考えを聞くことは可能)

集まれる場所 あり

他団体との連携 あり

連絡先 ホームページの問い合わせフォームから

*『ネットワーク』347号より(2017年4月発行)