新型コロナウイルス NPOから寄せられる相談とQ&A(相談の窓口から)

セルフヘルプグループにおける
オンラインの活用・ツールの使い方

SHGにおいては、①運営メンバー等の会議、②学習会やセミナー、③情報発信、④当事者ミーティング、⑤交流会・懇親会、⑥相談事業、の6つの場面において、オンラインツールの活用がみられます。

※当事者団体・SHGにおける新型コロナウイルスの影響については、 こちら をご覧ください


運営メンバー等の会議

まずは「運営メンバーの会議」から導入するグループが多いようです。使用するツールは様々で、LINEのビデオ通話など普段使っているアプリを活用することもできます。会議や打ち合わせなど、運営面での導入を通して活動への活用を検討することもあります。活用した団体からは「思い立った時すぐに会議ができて便利」「(疾病等が)重い状態のメンバーも家から参加できる」という声もありますが、「画面越しだと雰囲気がわからない」「話し出すタイミングがわからない」「顔は見えているけど、なぜか孤独を感じる」などの声も挙がっています。特徴的な取り組みとして、スタッフの個人的なできごとや雑談だけをする回を設けている団体もあります。SHGはピア(お互いが対等な仲間)であることが基盤ですので、会わなくなることで減ってしまったメンバー間のコミュニケーションを意図的に補おうという試みです。

学習会やセミナー

「学習会やセミナー」への活用は、比較的しやすいようです。講師・事務局・参加者全員が自宅等から参加している場合もあり、世界中どこからでも画面を通して講義を聞く・見ることができます。参加者とのやり取りを減らし、質問はチャット機能で受けるなどほぼ一方通行の発信に絞ることで、慣れていない事務局でも少ない負担で実施できます。オンラインのセミナーを開催したことにより、遠方からの参加も可能になり「参加者が増えた」と感じている団体が多いようです。

一方で「案内メールが先方の携帯にうまく送れない」「使い方を説明するのに時間がかかった」「セミナー受講後のつながりには結びつかなかった」など、手間が増えたり、これまでの講座に期待する効果が得られなかったりすることもあるようです。時々「オンラインセミナーだと、参加費の受け取りが難しい」という声を耳にしますが、最近では、法人格のない任意団体でも数百円からの支払いに利用できるオンライン決済があり、実際にSHGが利用しています。

実際の開催では、資料の取り扱いと質問の受け方、カメラについて悩むことが多いようです。資料は、事前に紙で配布できない分、当日、画面で資料が見られるようにするだけでなく、著作権等についても留意が必要です。

情報発信

情報発信を積極的にはじめたSHGもあります。YouTubeで自身の体験や仲間との対談を発信したり、SNSにメンバーが「つぶやき」を書いたりという取り組みです。コロナ禍で生活が大きく変わって、苦しい思いやしんどさが増している人たちに「一人じゃないよ」を届ける活動です。実名や住所をお互いに明かさず活動しているグループにとっては、仲間とつながり続けるための活動でもあります。

ただ、大変残念なことですが、個人的な体験を動画を通じて発信をしていると、時にいわれのない嫌がらせを受けることもあります。自分や大切な人を守るためにも、どこまでの情報を出すのか、書き込み欄をどう取り扱うかなど、発信の基準を決めたり対策を話し合っておくことなども重要です。

交流会・懇親会

交流会・懇親会については、オンラインでやるのが難しい…という声が多くありました。いくつかの団体は、匿名参加ができるLINEのオープンチャットを活用したり、Zoomの機能をつかって小グループに分かれた交流会を実施しています。オンラインの弱点は「大人数では話せない」「"あなたと話したい"が難しい」という点にあります。メリットは、リアルな交流会では座った席の「近くの人としか話せなかった」ということがありますが、オンラインではお互いの距離は一定のため、誰とでも話す機会があるという点です。あるグループでは、オンラインで「ランチ会」を開催しています。それぞれが自宅から参加し、一緒に食事と会話を楽しむ時間になっています。

相談事業

SHGの中にはミーティングの休止に伴い、期間限定で相談を受けているところがあります。相談の方法としては、電話やLINE、Zoomが多いようです。メールは「すぐに返信がきて、やり取りが増えて大変になってしまう」という声がありました。それに対して、オンラインの相談は、時間を限定して対応することができます。一方で、家の中からは相談できない利用者も少なくないため、「相手が押し入れの中から相談してきた」「車の中からスマホで連絡してきた」という状況もあります。オンラインミーティングへの参加に不安がある方や、切羽詰まった状況に置かれている方にとっては、SHGが相談を受けてくれることは大きな救いとなっています。切迫した相談が寄せられることになるSHGにとっては、適切なつなぎ先の情報が重要になります。

当事者ミーティング

当事者の集まり(ミーティング)は、多くのSHGにとって中心的な活動ですが、安心して話せるよう閉じられた空間で開催されることが多く、再開のめどが立たない団体がほとんどです。最も再開が望まれる活動でありながら、オンライン化について最も慎重に検討されている活動です。詳しくは下のリンク先をご覧ください。


→ 当事者ミーティングについて


オンライン活用の課題

誰にとっても便利…ではない

オンライン活用の大きなメリットは、遠方からの参加が可能なこと、自宅から出るのが難しい状況の人も参加できること、交通費と時間の削減ができることです。

一方で、インターネット環境がなかったり、スマホなどを持っていない人たちもいます。また、「家族に聞かれたくない」「"当事者"であることを知られたくない」「自宅のパソコンは家族と共有」という人も少なくないため、誰にとっても参加しやすいとは言い難いのが現状です。

音声でのやり取りが主になることもあり、団体からも「多様な人への配慮が保障できない中で開催するのは、望ましくない」「スマホがない人たちが、つながり自体から抜け落ちてしまわないか危惧している」などの声を耳にします。同時に「スマホはあるけど、絶対にオンライン会議はしたくない」という人もいます。

ファシリテーションが大事

オンラインでの活動では、ファシリテーターの役割が重要とされています。参加者の様子を見ながら進行をしたり、話している人に「聞いているよ」と反応をしたり、チャットを確認したりと、広くアンテナを張る必要があります。「誰でもできるわけではない」「人により、場にばらつきが出てしまう」など、苦労している団体が多いようです。また難病等の当事者団体からは、「疲労が激しい」「1時間が限界」という声も聞かれます。


オンラインツールの使い方(当事者団体用)

オンライン当事者活動をはじめるにあたり、具体的にどのような手順を踏めばよいのでしょうか。ITやオンラインツールの扱いに慣れているいくつかの当事者団体が、当事者団体・当事者ミーティングにオンラインツール(Zoomなど)を導入する際の手順やポイントを公開してくれています。一般的な手順だけでなく、参加者への案内に活用できる形でまとめられたものや、表示される名前を本名からニックネームに変更する方法など、SHGにとって重要なポイントなども発信されています。ぜひ参考にしてみてください。


オンライン当事者会の主催者・参加者の「心得」が掲載されています

表示される名前の変更方法などが掲載されています(おとえもじてでの開催についての記事です)。

Zoomの待機室を活用して当事者ミーティングを開催する方法、パスワードのつけ方などが掲載されています。

ホスト(主催者)のヒントが掲載されています

(相談担当M)