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TVACのあゆみ
~東京におけるボランティア活動支援の流れ~

第5章 東京ボランティア・市民活動センターへの移行

tvac_history_5_1.jpgボランティア体験プログラムの様子。
現場にはスタッフも積極的に出向きながら
参加者とともに考える姿勢で取り組んでいる。

1990年代(平成3年度以降)高齢社会、環境破壊、国際化等の諸課題が深刻化し、多様化、個別化していくことに行政が充分に対応できないなか、市民たちがボランティアとして、あるいは民間非営利団体を組織しながら対応する動きが活発化してきた。 そして、1995(平成7)年1月には、阪神・淡路大震災が起こり、行政の対応の遅れに対して、ボランティアや民間非営利団体の活躍ぶりがマスコミ等をとおして全世界に伝えられた。 この時から、一般市民へのボランティア活動をはじめとするさまざまな市民活動への関心と評価が高まったのはいうまでもない。 また、こうした市民たちの実力を認識した行政が、その支援のあり方について国および各都道府県において検討をはじめた。
一方、1994(平成6)年11月には、日本のボランティアや民間非営利団体が発展するためには法人格や税制上の優遇措置等の基盤整備が必要であるとし、そうした制度をつくることを目的とした市民活動団体の連絡組織、「市民活動を支える制度をつくる会(シーズ)」が誕生し、市民活動団体の全国的な組織化やロビーイングを積極的に行った。 そして、翌年11月には市民活動団体に法人格を与えることと市民活動団体の情報公開を主な内容とした「特定非営利活動促進法(通称NPO法)」が議員立法として国会に提出された。 また、1996(平成8)年6月には介護保険制度大綱が発表され、2000(平成12)年の実施に向けての具体的な検討が始まった。 このことからもわかるように、行政としては、今後、災害や社会福祉をはじめさまざまな分野での活躍が期待される民間非営利団体の支援の方策を検討したのであった。
まず、中央政府では震災の翌月、経済企画庁を中心に18省庁によるボランティア活動に関する連絡会議を設置した。 そして、東京都においても、行財政の大規模な見直しと変革を掲げた「東京都行政改革大綱」を1996(平成8)年3月に発表し、そのなかで、「ボランティア活動推進懇談会」の設置や「総合的なボランティア・センター」(いずれも生活文化局所管)の検討がうたわれ、これを受けた形で、同年6月には「東京都ボランティア・非営利団体の活動促進に関する懇談会」が開催された。 座長には、さわやか福祉財団理事長の堀田力が、副座長には明治学院大学社会学部教授であり、東京ボランティア・センター所長の山崎美貴子が選出され、2年間をかけて検討がされた。
これと平行する形で、東京ボランティア・センターにおいても1996(平成8)年6月に「東京におけるボランティア活動推進のあり方検討委員会」(委員長仲村優一淑徳大学教授)を発足させ、ボランティア活動の現状分析と東京ボランティア・センターの事業評価を行い、今後のボランティア活動推進のあり方を協議した。 本委員会は東京ボランティア・センターの運営委員会のなかに特別委員会として設置され、委員は東京ボランティア・センター運営委員長の仲村優一が兼務し、多様な分野や立場のボランティア関係者・団体で構成された。 また、多くの関係者やセンターの利用者にヒアリングやアンケート調査を実施し、意見集約を行った。 委員会では、東京ボランティア・センターが多様な関係団体とのネットワークのなかで、福祉をはじめさまざまな分野のボランティア活動や民間非営利団体の活動を推進・支援してきたことを確認したうえで、今後はこうした市民活動団体の組織化や運営により積極的に取り組むことが必要であるとした。 また、東京ボランティア・センターが築き上げてきた情報やノウハウ、ネットワークという「財産」が生かされる総合ボランティア・センターづくりを求めた。

tvac_history_5_2.jpg東京ボランティア・市民活動センターのオープニングを記念して
開催された国際シンポジウム。(1998.5.16)

平成8年12月に出された東京都の懇談会の中間報告では、行政が市民活動を支援する意味について、「市民活動を支援することで、地域社会の課題をよりょく解決し、市民の暮らしやまちづくり、さらには自治の内実を豊かなものにしていくことが可能になる」と述べている。 また、総合的なボランティア・センターについては、団体の設立や運営にかかわる、より専門的な支援と災害時におけるボランティア活動の支援の2つを中心とした総合的な拠点として位置づけた。 また、「現在の東京ボランティア・センターを総合的なボランティア・センターへと発展させることが、最も現実的で望ましい方策である」との見解を示した。
以上のような協議を経て、1998(平成10)年4月、東京ボランティア・センターは東京ボランティア・市民活動センターへと名称を変更しながら、その機能を拡大強化することになった。

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